スズメバチの輪廻

お風呂は入る前だと死ぬほど面倒臭いのに、入った後はなんとも清々しい気分になる。毎日思う。でも次の日になる頃にはお風呂に入った後の清々しい気分なんてすっかり忘れていて、また面倒だとほざく。往々にしてそんな人生を送っている。今日はスズメバチを…

好きよ好きよも嫌のうち

わたしが小さい頃、ドロップ缶を見ると無性にときめいた。今もドロップ缶があるとわくわくする。苺かな?メロンかな?薄荷かな?薄荷のドロップは、幼かったわたしたちの間ではハズレだった。辛くて鼻が痛くなるから。先日母と話したら、子ども時代、薄荷は…

何よりも優秀な冷凍庫

絵本は冷凍庫に似ている。わたしを構成する絵と文字のふるさとはきっと、父が、母が与えてくれた、絵本に漲っている全ての潤いだと思う。と思わせる程に小さな頃は読み聞かせをよくしてもらっていたものだ。その甲斐あってか今でも文字や絵に傾倒する生活を…

時をかける苺

うちの犬には好きな人がいる。Tさんはとても人当たりのいい初老の女性だ。胡散臭い宗教に入って家族の抱えた少なくない借金を返して暮らしている。わたしが犬と散歩をしているのを見かけるといつも声をかけてくれ、日々生きていることを労ってくれる。そのT…

化粧をする武士

ペンシルアイライナーをうっかり何度も折るような人生を送っている。わたしはなけなしの賢さを総動員させてペンシルタイプからリキッドタイプへ方向転換した。コストパフォーマンスがいい。仕事のある朝にメイクをしていると顔を作る速度と顔が崩れる速度が…

まだ情けないことにあの日に燻っている

夢を見た。床から天井にかけて葡萄酒色のビロードが敷かれた暗い廊下に、数字だけ書かれたドアがいくつも並んでいる。どうやら集合住宅らしい。金色の髪の少女や栗色の髪の少年とすれ違いながら、わたしは自分の部屋を探していた。手掛かりは手の甲に油性マ…

パンダ

昔からの惰性でベッドの上にぬいぐるみを敷き詰めて寝ている。今日はふとパンダのぬいぐるみを見て、ああ、動物園に行きたいな、なんて思う。わくわくとした空気を吸い、いつ見ても目に新しい動物達を見て、たっぷり陽に焦がされて帰ってくる、そんな時間を…

雨粒とスニーカーの話

先日白いスニーカーをおろした。インソールが桃色でなんとも女の子らしく自分には似合わない物だ。今日は土砂降りの雨、外出に際しててっきりスニーカーも汚れると思ったが、雨粒を受けてきらきらと輝いていた。そのときふと思い出したのが、自分が乾燥剤の…

音の雨

徒然なるままに文章を書き晒していこうと思う。今日、蝉の鳴き声がぽつりと足元に降ってきた。そうか、夏が来るのか。あの子が亡くなって幾度目か、もう数えていない。未だに"あの子"と呼べばいいのか"あいつ"と呼んでいいのかはたまた"奴"と呼ぶべきなのか…