パンダ


昔からの惰性でベッドの上にぬいぐるみを敷き詰めて寝ている。今日はふとパンダのぬいぐるみを見て、ああ、動物園に行きたいな、なんて思う。


わくわくとした空気を吸い、いつ見ても目に新しい動物達を見て、たっぷり陽に焦がされて帰ってくる、そんな時間を買う。そんなことを考えるだけで(物理的にも)小さな胸が踊ってしまう。

完全に娯楽性の塊のような動物園はとてもあざとい。抗えぬ、ないし抗うことの許されない空間はお金が要る。酸素を買うようなものだ。人間はそうやってゆっくり酸化して老化を進めやがて死ぬ。

酸化するのならいい空気を吸いたいなと思った。わたしに限った話で申し訳ないが職場の空気ばかり吸っていては絶対に駄目になる。そこでわたしは週休χ日を選んで働いてみたりなどする。抗えない空間があるのなら抗える空間で対抗するのだ。

休日は有意義なことに使いたい。今夜はパンダのぬいぐるみに鼻を沈めてから眠りにつく、そうしよう。今日よりも明日が、明日より明後日が幸せであるように、時には落ち窪んでしまってもまた良くなるように、わたしには毎日を過ごすしかできない。そんな人生のスパイスがパンダの香りだとしても、いいんじゃないか。