何よりも優秀な冷凍庫


絵本は冷凍庫に似ている。

わたしを構成する絵と文字のふるさとはきっと、父が、母が与えてくれた、絵本に漲っている全ての潤いだと思う。と思わせる程に小さな頃は読み聞かせをよくしてもらっていたものだ。その甲斐あってか今でも文字や絵に傾倒する生活を送っている。全世界に親不孝だと認められたわたしがこんなところで親孝行をするとは。


絵といえば(また脇道に逸れる)、小学生の頃に校長先生が教えてくれた、「緑はピンク色をしているかもしれない」という言葉に今でもポジティブに呪われている。その時からわたしは夕焼け空が青く見えたり神社が紫に見えたり、水が水色ではなく、太陽は赤くないということを理解し、自分なりに咀嚼した人生を送ることができている。

色に正しさはない。それがいつもわたしを救ってくれる。

絵本はいつ見ても新しい。例えば、『はらぺこあおむし』は美しい。『100万回生きたねこ』も時間による擦り傷が無い。
冷凍庫のようにみずみずしいものを保ちながら必要なときに栄養になってくれる、それが冒頭に繋がる理論だ。

寝る前のわくわくが電子媒体で動画を見ることでもいいけれども、子どもには(或いは大人になりそこなった人には)、絵本を読んで欲しいと思う。人間らしい作業だと思うから。液晶に向き合うと眠気も心もどこかへ飛んでしまう。もしかしたらあなたの抱えている紙のぬくもりは、一晩ならぬ一生の友となり得るかもしれない。